台湾出身の芥川賞作家・李琴峰氏が、2025年6月に甲府市議によるアウティング事件で話題となりました。
これまでも様々な社会問題について積極的に発言してきた李氏は、なぜたびたび議論の中心となるのでしょうか。
李琴峰さんってどんな人?プロフィールと作家としての歩み

台湾出身の注目作家、芥川賞も受賞!
なんと15歳から日本語を勉強し始めて、2013年には来日。
早稲田大学の大学院で日本語教育について学びました。

母語は中国語なんですが、日本語で小説を書くという、かなり珍しいタイプの作家さんです。
2017年には、初めて日本語で書いた小説『独舞(どくぶ)』(のちに『独り舞』に改題)が、「群像新人文学賞」の優秀作に選ばれてデビュー。
一気に注目を集める存在になりました。
トランスジェンダーであることを公表、その背景とは?
実はこれ、ネット上で長年にわたってアウティング(勝手に性自認を暴かれること)や誹謗中傷を受けてきたことへの対応として、決断したそうです。
公表に至るまでには、
「このまま誰にも言わずに命を絶つか、それとも勇気を出して公表し、加害者を実名で告発するか」
という、極限の選択を迫られていたと語っています。
社会活動にも積極的に関わる一面も
たとえば…
- LGBTQ+の権利を守る活動
- 在日外国人の権利向上
- ヘイトスピーチへの反対etc…
さまざまな社会課題に取り組んできました。



こうした姿勢がきっかけで、時には論争を巻き起こすこともありますが、それだけ真剣に社会と向き合っている証とも言えますね。
最新の炎上ニュース|甲府市議によるアウティング問題(2025年6月)


何があったの?事件のざっくりまとめ
理由は「SNSで勝手にトランスジェンダーだと暴露されたから」。
いわゆる“アウティング”が問題になっています。
村松市議の投稿、どこが問題だった?
でも実は李さん、2013年に来日する前に性別変更の手続きを済ませていて、ずっと女性として生活しています。
つまり、本人の許可もなく性の情報を暴露したことが、大きなプライバシー侵害にあたるというわけです。
李琴峰さんの主張と裁判の内容
李さんが訴えているのは以下の通り
- 性別に関する情報は非常にセンシティブでプライベートなもの
- 勝手に暴露されると、社会生活や人間関係に大きな影響が出る
李さんは記者会見でこう話しています
「あの投稿を見てから、周囲に知られてしまったんじゃないかと不安で怖くなった。同じような被害が減るようにと考えて、裁判を決意した」
裁判の進捗とネットの反応は?
- 現在、裁判は東京地裁で進行中
- テレビやネットメディアでも大きく取り上げられている
- ネット上では…
- 李さんを応援する声
- 市議の行動を批判する声
- 一部には批判的な意見もあるが…
→ 多くの人が「アウティングは人権侵害」と理解を示している
この事件が投げかけた社会的な課題とは?
今回の件が明らかにしたのは、以下のようなポイントです
- トランスジェンダーやLGBTQ+の人たちが直面する「アウティング」の深刻さ
- 特に“公人”である市議が加害者だったことで、問題はより重大に
- 性的指向や性自認に関する情報をどう扱うべきか、社会全体で考える必要がある
過去の炎上①|知念実希人さんとの“差別発言”騒動(2021年)


騒動のきっかけは?
2021年9月、医師で小説家の知念実希人(ちねん・みきと)さんが、李琴峰(り・ことみ)さんに対してSNSで「国籍差別的」と受け取れる発言をしたことが話題になりました。
もともとは、李さんが芥川賞を受賞したあとに行っていた社会的な発言に、知念さんが反応したのが発端です。
どんな発言があったの?
- 知念さんは、李さんの過去のツイートに対して
「他人の難病をバカにするような人間は、医師として軽蔑する」
という内容を投稿 - そのあともいくつか投稿を重ねていく中で、国籍に絡む差別的な発言が含まれていたとされ、炎上しました
李さんの抗議と和解までの流れ
李さんは、知念さんにDMで 「それは事実じゃありません」と抗議。
でも最初は反応がなかったとのこと。
そこで李さんは、公の場でしっかりと抗議。
その結果、多くの作家や読者が李さんを支持しました。
知念さんは最終的に、自分の発言が「明らかに差別的だった」と認めて謝罪。
李さんもそれを受け入れ、「すでに解決済み」として和解。
騒動は一応の終息を迎えました。
この出来事が教えてくれたこと
この騒動は、私たちにいくつかの大事なことを考えさせてくれました。
- 有名人同士のやりとりであっても、ちゃんと声をあげることの大切さ
- SNSでの発言には責任がともなう
- 何気ない言葉でも、差別になる可能性がある
- 出自や国籍に関する偏見は、まだまだ根深い
過去の炎上②|LGBTQ+差別反対の声明が呼んだ反響(2024年11月)


どんな声明だったの?
内容は、こんな感じでした。
- 日本社会にはまだ根強い性的マイノリティへの偏見や差別がある
- それをなくしていこう、という呼びかけ
この声明は、文学界や社会運動の分野で活動する人たちが中心になって発表されたものです。
発表されたタイミングにも意味があった
この声明が発表されたのは、11月20日の「トランスジェンダー追悼の日」に合わせてでした。



李さんたちはこの日にあわせて、「日本でもこの問題にもっと目を向けてほしい」という思いで声明を出したんですね。
ネットの反応は? 賛否が分かれた議論に
当然ながら、この声明にはさまざまな意見が寄せられました。
賛成派の声
差別をなくすことは本当に大事
こうやって声をあげてくれるのはありがたい
批判的な声
文学者が政治的な活動に関わるのはどうなんだろう
一方的な見方に感じる
人によって意見は違うけれど、この問題について考えるきっかけになったことは確かです。
なぜ李琴峰さんはたびたび炎上するのか?


強い信念とズバッとした物言いが注目を集める理由
- 正しいと思ったことは遠慮なく言う
- 妥協しない姿勢で筋を通す
そんな姿勢に「かっこいい!」と共感する人も多い反面、「言い方がキツい」と感じる人もいて、意見が割れやすいんです。
作家だけじゃない。社会活動家としての顔も
- 作家としては文学作品で表現
- 活動家としては差別や偏見に立ち向かう発言を続ける
この2つの立場が重なることで、「作品」と「政治的な主張」が切り離しにくくなってしまうことも。
だからこそ、文学の話がいつの間にか社会問題の議論に…なんてケースも珍しくありません。
SNS時代ならではの炎上リスクも…
今の時代、有名人の言動はあっという間にSNSで拡散されてしまうので、どんなに慎重に発信しても、文脈が切り取られて誤解されることがあります。
特に李さんは、
- 外国籍
- 性的マイノリティ
- 社会問題に積極的
という複数の特徴を持っているため、いろんな立場や視点から注目・批判されやすいんですね。
まとめ
李琴峰さんは台湾出身の芥川賞作家で、日本語で小説を書く数少ない存在。
トランスジェンダーであることを公表し、LGBTQ+の権利や差別問題にも積極的に声を上げています。
その一方で、SNSでの発言や社会活動がきっかけで何度も炎上。
強い信念とまっすぐな物言いが共感と賛否を呼ぶ理由なんです。
作家と活動家、2つの顔を持つ李さんの言動は、これからも注目され続けそうです。
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